医療の質の向上策 |
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医療の質の向上策
ISOや病院機能評価は、継続的改善や運営体制の評価です。
これだけでは、医療の質は向上しません。
そこで、これらのしくみに質の向上を図るツールを追加してシステムを構築することが大切です。
ここでは、そのようなツールの幾つかを紹介します。
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QCサークル活動の導入
QCサークル活動は、同じ仕事をする人が集まって結成された小グループです。 ただし、病院においては部門横断的にグループを結成した方がより効果が上がるといわれています。
この小グループは、経営方針に沿って自分たちの職場に直結したテーマを取り上げ改善を行います。
活動のステップは、テーマ選定、勉強会、改善活動、発表会、業務手順の改訂 という順番で行います。
このような活動を、各グループ 年2〜3テーマ 実施します。
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QCサークル活動を導入することにより、経営方針に沿った改善活動が進みます。
また、職場内コミュニケーションが進み、職員が経営に参画しているという自覚が芽生えます。 |
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これは、ある病院のサークルが社外のQCサークル大会で発表した例からとったものです。
テーマの選定
とりあげた理由を明確にしています。
経営方針の顧客重視と苦情からこのテーマを取り上げています。
現状の把握
ヒストグラムによる現状分析の結果より、テーマを「エコー検査終了後の待ち時間の短縮」に絞っています。 |
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要因の分析
サークルメンバーが集まって、性要因図を用いて、原因を分析しています。 |
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対策の検討と実施
要な原因に対する対策案を考え、費用対効果を評価して対策項目を決定しています。 |
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効果の確認
ヒストグラムを活用して、効果を数値的に確認しています。
標準化と管理の定着
改善事項をしくみに反映しています。
このような活動が、QCサークル活動です。
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リスクマネジメント
リスクマネジメントには色々ありますが、ここでは医療事故に対するリスクアセスメントについて説明します。
リスクマネジメントには、事故の予防対策、不幸にして事故が起きてしまったときの緊急時対応、再発防止対策の3つの段階があります。
ISO9000や病院機能評価では、緊急時対応や再発防止対策が評価基準として要求されているので、システム構築の段階で織り込まれると思います。
一方、予防対策は余り明確に規定されていません。しかし、医療の質の向上にとっては重要な項目です。
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この予防措置をリスクアセスメントという体系的な方法で織り込むことにより、患者の安全性が確保できるようになります。 |
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これは、日本品質管理学会に発表された研究から採ったものですが、明治大学、PL病院で、アクシデントやヒヤリハットなどのインシデント1003件のリスクを調査しました。
リスクは、単なる件数ではなく
過誤発生割合×患者への影響度×病院の信用失墜
で評価しました。
その結果、予薬、検査・手術、ライン、患者情報、患者管理といった業務でリスクが高いことがわかりました。
そこで、これらの業務ごとにリスクアセスメントを行って予防処置を図ります。
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先ず、業務手順のフローチャートをつくります。
そして、一つの手順項目ごとにブラックボックスを用いてミスの発生する要因―エラーモード―を抽出します。 |
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これが、ブラックボックスの例です。
各手順ごとに、インプットとしては
薬の表示
カルテの指示
処方箋の指示
思い込み
聞き間違い
患者の状態
医療機器の状態
アウトプットとしては
未処置
照合間違い
記述忘れ
記述間違い
置き間違い
などの具体的なモードを洗い出します。 |
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これらのモードを、一覧表に書き込み各モードごとにリスクを評価します。
リスクの評価方法は
発生の可能性×患者への影響度
で点数評価します。
リスク評価点が定めれれた基準以上のものについて、基準点数以下になるよう予防対策を織り込みます。
安全な状態とは、どこにも基準リスク評価点以上の項目がない状態を言います。 |
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この他のツールとしては、バランススコアカードとコンピテンシー・マネジメントがあります。
バランススコアカード
バランス・スコアカードは方針展開のツールです。方針展開の当たり財務の視点、患者の視点、医療プロセスの視点、学習と成長の4つの視点より達成指標を明確にして全職員に伝えます。 結果は賞与などの報酬システムにリンクするケースが多いようです。
バランス・スコアカードの導入により、戦略の明確化と全職員にどこが弱いかがビジュアルな形で伝達できます。
コンピテンシー・マネジメント
コンピテンシーとは、該当職務で高い成績を上げている人の行動特性を性格面にまで踏み込んで分析します。
分析結果を幾つかのカテゴリーに分類し達成行動レベルまで明確にして表にしたもがコンピテンシー・ディクショナリーです。
コンピテンシーは採用・職員配置・能力の開発に活用できます。
コンピテンシーを能力の開発に活用する場合は、コンピテンシーディクショナリーにより自己評価・多面評価を行い、その結果をふまえて、各人が自己目標の設定し、上司は研修の機会の提供やコーチングにより開発を支援します。
民間の会社では、多面評価の結果を人事評価の一部として活用しています。 |
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ISO9000と病院機能評価の統合
ISO9001は経営の継続的改善のしくみであり、病院機能評価は医療独自の専門的評価です。
病院の実情が専門的評価の基準に満たないときは、これを引き上げることで、医療の質の向上が図れます。
さらに、ISO9001と統合することによりしくみとして機能させることができます。
下の「ISOと病院機能評価 要求事項関連表」を開けてみてください。評価項目そのものは90%重なっていますので容易に統合することは可能です。
ISOと病院機能評価の両方を取得する場合は、統合システムとして構築することによりそれぞれ単独で取得するよりも期間・費用が圧縮できます。
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ISOと病院機能評価 要求事項関連表 |
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統合マネジメントシステムのプロセスモデルはISOのプロセスモデルを使います。
このモデルに、病院機能評価の必要用件を織り込んでいきます。 |
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ISO14001と病院機能評価の統合
ISO14001は環境マネジメントシステムの規格です。
病院における環境問題としては、地球環境、地域環境、医療廃棄物があります。
しかし、ISO14001では組織内の人の成育環境や安全の問題も環境マネジメントシステムとして取り扱うことを推奨しています。
院内環境を環境マネジメントシステムの適用範囲に含めると、医療環境・適切な治療・医療事故予防・院内感染の予防・医療事故の予防などの活動もISO14001のシステム上で取り扱うことができISO9001の範囲と大差ないようになります。 |
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ISO9000と病院機能評価は似たような内容になりますが、ISO14001と病院機能評価を統合することにより、医療の質の問題と環境の問題を同時に取り扱うことができ、 しかも継続的改善のしくみも出来上がります。
対外的な信用を得るということを考えた場合は、ISO9001と病院機能評価の統合よりも、ISO14001と病院機能評価の統合の方が効果的であると思います。
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ISO14001のプロセスモデルは左のようになっています。 |
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左の図は、ISO14001のプロセスモデルに病院機能評価の必要要件を織り込んだ統合マネジメントシステムのプロセスモデルの例です。 |
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コンピテンシーマネジメント ⇒ 福祉・介護の人材育成の進め方 |
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