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2010年01月 アーカイブ

2010年01月11日

太陽光発電の発電実績

 2008年9月に自宅に太陽光発電と太陽熱温水器を設置しまし、その設置状況をブログ「自宅に太陽光発電を設置しました」で紹介しました。

設置後1年4ヶ月経過したので、どれだけ発電量があったか、投資回収年はどれだけかを集計してみました。
結論から言うと「雨の多い北陸地方であっても、民主党政府が提案している太陽光発電量の全量買取り制度が実施されれば十分に採算が合う」ということです。
以下は発電実績です。

太陽光発電
  設置場所は石川県小松市自宅の屋根、設置パネルは京セラエコノツールRA175T20枚、総出力3.5kWです。
1001rimg0162 昨年(2009年1月~12月)の実績は右の写真の通りです。
・発電量 3,828kW
・電力料金換算 84,000円
・消費電力 5,518kW
・自給率 69%
・売電量 656kW
・炭酸ガス排出量削減 1.47t-CO2

発電量は京セラのカタログで金沢での実績が年間3,947kW(SAMURAI 3.906kWタイプ)となっていたのですが、3,828kWという実績は、昨年は7月・8月に梅雨が長引き雨の日が多かったことを考慮すると予定通りですね。

購入・設置価格245万円、発電量3900kw、電力料金22円/kWとすると
・投資回収年は2,450,000/(3,900×22)=28.5年

 昨年11月からは、固定価格買い取り制となったが、雨の日や曇った日は発電量少なく売電とならないので発電量の中での売電量の比率が17%しかない。金額換算で15,000円増えるだけで投資回収年に影響を及ぼす金額は殆ど変わらない。

 民主党政権になって、全量買い取り制度に切り替えると言っているが、この制度ができた場合買取り金額を48円/kWとすると年間10万円多くもらえることになる。

購入・設置価格245万円、売電量3900kw、売電料金48円/kWとすると
・投資回収年は2,450,000/(3,900×48)=13.1年

最近は、太陽光パネルも安くなっているので購入・設置価格を200万円とすると
・投資回収年は2,000,000/(3,900×48)=10.7年
これなら十分ペイしますね。
実施時期について、菅直人副総理・国家戦略担当相は2010年度からと言っているが、現時点ではまだ決まっていない。

太陽熱温水器
 一方、温水器に太陽熱温水器については、長府エコワーターを設置しました。
この効果は4月~10月の間で
・夜間年間削減量 約800kW
・炭酸ガス排出量削減 0.3t-CO2
となります。
削減量約800kWというのは、実際のところ余りよく分からない。
・2007対2009では 1,063kW削減
・2008対2009では  530kW削減
その年の天候にかなり影響されるようです。

太陽熱温水器の購入・設置価格25万円、発電量3900kw、電力料金22円/kWで計算すると
・投資回収年は250,000/(800×22)=14.2年
夜間電力7.3円/kWで計算すると
・投資回収年は250,000/(800×7.3)=43年
となりす。

 これは、炭酸ガス排出量削減を考えた投資効果は大変良いが、北陸電力が将来の原子力発電拡大のために夜間電力を極端に安くしているためで、投資金額的にはペイしないようです。
但し、これは気温・日照時間とも低い北陸地方の実績なので南国では十分ペイするのかもしれません。
しかし、太陽熱発電はなんと言っても購入・設置費用が安いのが特徴です。
太陽熱発電は効果の計測方法が難しいので買取り制度にはなじまないと思いますが、最近多くの府県市で補助金制度が整えられつつある。これらの補助金制度を利用すればペイするようになると思います。

2010年01月30日

省エネについての誤解

 昨日は石川県の地球温暖化防止活動推進員研修「推進員研修の先進事例を知ろう」というコースを受講しました。
1001rimg0033_2これまで地球温暖化防止活動部門環境大臣表彰を受賞した岐阜県の小林由紀子さん、愛知県の浅野美智子さんの話を聞きました。
両人とも大変よく勉強されていますね。
ここでは、企業の皆さんに関係のある部分だけを紹介します。

小林さんの話の中で私が知らなかったことが何点かありました。

「省エネルギーの意味」
 省エネと言うと、電気を消したり、温度を下げて寒い中でひざかかけをしたり、涙ぐましい努力をしている例を見受ける。やっている本人は、それで地球環境に貢献しているのでそれでよいが、それを他人に押し付けられると「いい加減にしろ!」と言いたくなる。
しかし、省エネルギーの本来の意味は、そうではない。
これは知りませんでした。
英語の省エネルギーはEnergy Conservationであり、決してEnergy Savingではない。Conservationには、「保護」「管理」「保存」といった語意があり、たとえばEnvironment Conservation(環境保全)の意味は、自然環境を管理しつつ維持していくということである。
省エネルギーの方法としては「量を減らすのは各論で、効率を上げるのが本筋ではないのか。」という問題提起です。

具体論として幾つか紹介いただいたが、その内容に小職が企業の視点を付け加えて紹介します。

●部屋の窓から逃げる熱を減らす
Enargy001_2 右図は省エネルギーセンターのホームページの転載です。冬場、住宅の開口部(窓等)から逃げる熱は48%もあります。
※1992年の基準で建てた住宅モデルにおける例『出典:(社)日本建材産業協会』

 昨年暮れある工場にEA21の審査に行きました。工場に入ると、作業者から「この工場は天井が高く冬場は寒い」と言っている。工場の窓を見るとブラインドもついてない。
帰りに社長さんに「ブラインドをつけたらどうですか」とアドバイスしたが、どう受け取られたか。
本当はプラインドではなく二重サッシを提案したかったが投資効果までは分からないので言えなかった。
今思えば、このデータを見せればよかったと思っている。
ちなみに二重サッシは一方は、アルミサッシではなく塩ビサッシの方がよい。塩ビサッシは環境に悪いと思われがちだが、温暖化と化学物質の両方トータルで考えると塩ビサッシがよい。一昨年、御膝元の環境省が新庁舎を新築するときにアルミサッシではなく塩ビサッシを採用したという報道があったことを思い出しました。

●LED
 LEDにすると、蛍光灯に比べてCO2排出量が半分になる。トータルコストを単純に比較してもLEDの方が安い。
Energy004_2
 しかし、事務所での照明に利用する場合は切り替えに初期投資が伴う。
パナソニック電工が10月から始めた「あかりEサポート」を利用すると換装費用なし、支払い費用も従来通りでCO2排出量を半減できる。
「あかりEサポート」とは照明のリース。省エネ照明(LED照明や高効率蛍光灯)への換装費用を月々の支払いに振り替え、初期投資負担を無くせるのが最大の特徴で、省エネ効果で電力料金が削減できるので、サービス料を含めた月々の支払いは従来の照明を使い続けた場合と同となる。

●エヤコン、冷蔵庫の驚異的な省エネ効率の向上
 10数年前のエヤコン、冷蔵庫はヒートポンプが付いていなかった。近年空気エネルギーを活用したヒートポンプ技術が開発され、その効率急速に向上している。これもLEDと同じで、古い冷蔵庫やエヤコンを使用している事務所では、お金を借りて買い換えても電気代の削減で毎月の支払費用が下がることになると思います。
    Energy002_2
  各社の主力冷蔵庫(400L以上)の平均値
     ※省エネルギーセンター・データ参考

Energy003
 エアコンの省エネ性能の推移。出典:日本冷凍空調工業会 

「エネルギー自給率は4%?」
 日本の食料自給率は40%弱ということで問題になっているが、エネルギー自給率は4%しかない。
これは知らなかったですね。
日本のエネルギーの80%以上が化石エネルギー(石油、石炭、天然ガス)に頼っており、その殆どが輸入である。原子力エネルギーが16%位あるが、この燃料のウランも輸入である。両方を合わせると96%が輸入ということになっている。
 将来は化石燃料・ウランの枯渇が予測されており、輸入価格は確実に上昇する。
地球温暖化を考えなくても将来に向けたエネルギーの安定確保のために、太陽光・太陽熱・バイオ・地熱などの自然エネルギーの利用がどうしても必要ということになる。
しかし、巷の意見では、自然エネルギーの利用には金がかかる、不安定である、といった否定的な意見が多いように思える。政府は、どうして、このことを説明しないのだろうか、疑問に思います。


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