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2009年03月 アーカイブ

2009年03月06日

待機電力のカットについて

エコアクション21認証登録は2004年10月に始まったが、当地石川県では、その前身である環境活動プログラムに登録されていた事業者が300社ほどあった。その中の約100社が3月~5月にかけて、一斉にエコアクション21に移行したため先月、2月・3月は審査が集中しました。
もっともエコアクション21の審査は連続4回でお役御免ということで今年は4年目、制度設立当初より審査人も倍増していることもあり、来年以降は、このような集中はなくなると思います。

この間の審査で気づいたことを2つほど紹介させていただきます。
一つ目は「待機電力のカット」についてです。

EA21の審査でお伺いした会社では、エヤコンの温度管理、不要な電気をこまめに消す、蛍光灯の間引きといったことは、ほぼ実施されていました。
ところが待機電力のカットはやっていない。やっていないというよりは、当事者はやっているつもりであるが、実際はカットされていないということです。
これまで、お伺いした7社について毎回待機電力のカットの実施状況を確認してみましたが、実施されている会社は1社だけでした。残りの会社は気がついていないか、やったつもりでいるが実際にはカットされていないという状態でした。

この原因は、どこで待機電力がカットされるかという仕組みをご存知ないということのようです。
そこで、その仕組みを紹介します。

■ エヤコンの待機電力
 エヤコンの待機電力は製造年月によって異なるが、2007年頃以前に設置されたエヤコンでは省エネ回路が組み込まれておらず、リモコン電源を切ってあっても1台当たり5~7Wの待機電力が常時発生している。
各社の事務所をまわって見ると、「リモコン電源をOFFにしたからもう待機電力が発生していない」と勘違いしておられる方が多数おられる、ことに気づきました。
エヤコンの配線は [①メンスイッチ]→[②(区画やエヤコンごとに設置された)ブレーカー] →[③リモコン] →[④エヤコン]とつながっており、待機電力をカットするには②のブレーカーを切らなければならない。
0903rimg0036右の写真は私の自宅のブレーカーですが、一つのブレーカーは一つのエヤコンにつながっている。事務所でも同じです。どのブレーカーがどのエヤコンにつながっているかを確認して、ラベル表示をする。春・秋の不使用期間や、できれば帰りにスイッチを切って夜間も待機電力が発生しないようにすることが望ましいですね。

■ パソコンの待機電力
 パソコンの液晶モニターの待機電力は1~3W/台ですが、それでも台数が多いとバカになりません。多くの事務所での配線は[サーバー] ~【[パソコン] →[液晶モニター]】と接続されており、業務終了後はパソコンのスイッチはキチンと切っておられるようです。ところが液晶モニターのスイッチを切っていない会社が多い。
これは、パソコンのスイッチをOFFにすれば液晶モニターの電源も切れると勘違いされていることのようです。
0903rimg0028右はパソコンの液晶モニターですが、待機電力をカットするには矢印の部分のボタンを押してライトが消えたことを確認する必要があります。
私がお伺いした会社の中で1社だけですが、これが見事に徹底して行われた会社がありました。商社さんで台数が多いこともありますが、このこと以外の省エネ活動も全てしっかりしていましたね。

■ コピー機
 コピー機の待機電力は意外と大きい。機種にもよるがコピー機は5~15Wほどある。FAX複合機となるとスリープモードで70~100Wほどになる。
コピー機の方は帰りに切っているが、FAX複合機は年中つけっぱなしとなる。もったいないですね。
このような場面で活用するツールがNTTより発売されている。
 ⇒ 節電虫(せつでんむし)

事務所の規模にもよりますが、私の試算では、これらのことを実施していただくと、事務所の電力使用量を約1%削減できると思います。

2009年03月08日

建設機械の省エネ運転

前回は待機電力のカットについて紹介しましたが、もうひとつ建設業の例を紹介します。
最近は車のエコドライブについては、アチコチで紹介されるようになりましたが、建設機械の例はないようですので、ここでは「建設機械の省エネ運転」について紹介します。

今年2月金沢市にある北陸地建さんにお伺いしました。北陸地建さんは社員数30人弱の主として道路工事や下水道工事を行っている土木建設業者です。以前のこのブログ”金沢エコ大賞”でも紹介したことがあります。

一般的に土木工事業が取り上げる環境パフォーマンスの項目は
1. 温室効果ガスの削減(省エネ)
2. 廃棄物の適正廃棄及び再資源化
3. 環境に配慮した工事の推進
の3項目であるが、2項目は建設リサイクル法、3項目目は工事ごとの仕様書で実施項目がほぼ指定されており、どの建設事業者でも大きな差はない。

ところが、1.項の省エネについては、できる限り省エネ建機を使用します、といこと以外に特別な活動を行っていないようです。
土木工事業の温室効果ガス排出量の70~80%は建設機械から排出される。省エネ建機を持っていない中小事業者は如何にしたらよいか。
私は、2007年暮れにそのような疑問を持ってネットで調べていた所、建設省中部地方整備局の研究発表にたどり着いた。
そこでの研究発表の骨子は以下のようでした。
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中型クラス以上のバックホーには、オプションとして「省エネ操作モード」がついている。
しかし、現場のオペレータは、標準操作モードに比べると「動作速度が落ちる」「掘削力が落ちる」という理由で使いたがらない。実際はどうなのか。
中部地方整備局では、12t、20tの両クラスのバックホーについて、標準モードで作業する場合と、省エネモードだけを使って作業をする場合を実地で比較した。
その結果は、省エネモードを使用した場合、12tバックホーを例にとると燃料使用量は
「土工量当たりでは16%削減するが、稼働時間当たりでは19%削減する」
即ち「全体的な燃料使用量は16%削減でき、その時の作業時間の増加は4%だけである」
という結論です。
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この4%は工事中に建設機械を動かす時間だけのことで、工期全体を考えれば比率はわずかである。また、建設機械の操作技能を高めれば吸収できるかも知れない。
そこで昨年2月のエコアクション21の審査の時に、北陸地建さんにこの話を紹介し、納入している建設機械メーカーでは、このような省エネ運転講習会を開催しているのではないかとお尋ねした。社長さんは、その場で納車先の「○○建機」に電話したところ、大手ゼネコンの依頼でそのような講習会をやったことあるとの回答でした。
 また、このような省エネ運転の取組状況の確認は、建設機械についているアワーメーターと給油量を記録することにデータで確認できるので、そのような指標で評価することをお勧めした。

 1年後、今年2月に再度お伺いし、その後どうなったか確認させて頂いたところ、○○建機さんの省エネ・安全講習会は昨年4月に開催され、オペレータ全員が受講されていました。
また稼働時間当たりの燃料使用量のデータも把握されていました。
しかし、実際にはどうやっているのか、工事現場でバックホーのオペレータの方、数名にもインタビューしました。
「省エネモードは使っていますか」
「はい、使っています」
「しかし、省エネモードは力が出ないので仕事がやりにくいのでは?」
「少し力が落ちるかも知れないが、仕事量には影響がありません。講習でも習っていて、みんな守るようになりました」
と言う次第で、みんなよくやっていると納得しました。

社長さんも「省エネ運転がコスト低減につながっている。厳しい事業環境の折から助かっている」と言って大変喜んでおられるようでした。

なお、最近調べてみると、建設機械の省エネ運転については以下のテキストが発売されています。
 ⇒ 建設機械の省エネ運転マニュアル
 ⇒ 建設現場で今すぐできる地球温暖化対策

2009年03月24日

環境コミュニケーションで利害関係者の満足度を上げる

エコアクション21には、「環境活動レポート」の発行が義務付けられています。また、2006年8月にISO14063「環境マネジメント-環境コミュニケーション-指針及びその事例」が発行され、2007年6月には環境省の「環境報告書ガイドライン」改訂されました。環境マネジメントの中で環境コミュニケーションが段々と強調されてきています。
でも環境コミュニケーションって何だろう。
私は、こう思います。
現代は私たちの生活スタイルそのものが地球のキヤパシティを超え、地球温暖化を初めてとする多くの問題を引き起こしています。
我々人類のすべてがこの問題の解決に当たらねばならない。それにはどうしたら良いか。
今NHK大河ドラマで「天地人」が放映されていますが、この言葉になぞらえて言うと
「天」-温室効果ガスの削減等、国連を通してその理念と具体的目標を設定する。
「地」-これを達成する仕組みの整備や技術を開発する。
「人」-人のこころ、互いの理解と納得を深め問題意識を共有する。

地球温暖化対策等に関するこれまでの経緯では、「天」「地」は段々と見えてきており、問題は次の「人」のところに移ってきているからではないかと思います。

では、企業にとってはどのようなことが必要なのか。
人でも企業でもコミュニケーションの第一歩は、自分の内面を開示することです。良いところ、悪いところを含めて自分の内面を開示しなければ誰も信用してくれません。
このためのツールは大企業では「環境報告書」であり、中小企業では「環境活動レポート」です。
でも、環境報告書や環境活動レポートの発行はコミュニケーションの第一歩でしかありません。
企業の環境保全活動の本質は、企業活動におけるステークホルダー(社員、取引業者、顧客、行政、地域の人など)に対して地球環境の尊さを訴えかけ、自らが率先垂範しながら地球環境保全活動の輪を広げていくことです。また、その過程のなかで、製品・サービスの環境的付加価値を高め、新規顧客の獲得や顧客の囲い込みを行い収益に結び付けていくことです。
先日エコアクション21の審査で小さな造園業ですが、このことを非常にうまく行っている事業者に出会いました。
事業者の了解をえて、その一部を紹介します。
 
植宗園は、江戸時代から兼六園など金沢周辺の庭園の管理や造園を行っている社員10人の造園事業者です。EA21では環境活動レポートの公表が義務付けられており当然実施しているが、これだけでは新規顧客の獲得や顧客の囲い込みにはならない。
植宗園では、造園に関する小冊子を作り営業ツールとして顧客に配布している。この小冊子は市民にも好評で地元の植物を紹介した小雑誌「森からのおくりもの」は、石川県立図書館の蔵書となっている。
 
0903otibaまた、植宗園は県立公園の指定管理者となっているが、公園にはケヤキなど腐葉土づくりに適した木が多い。公園の落葉を清掃しているとき公園利用者の中に園芸用に落葉を分けてほしいという声があることに気づいた。そこで金沢市に働きかけ「落葉リサイクル」と名付けて公園の入口に譲渡を知らせる掲示板を設置したところ、多い日には5、6件の希望者が訪れるようになった。持ち帰った落葉は各家庭で園芸や家庭菜園の堆肥として使用され、本来は埋め立てごみとなる落葉が再利用され処分費用が年間100万円も削減されたとのことです。
植宗園では、剪定屑等に廃棄物の再資源化率が98%と非常に高いレベルにある。これは、剪定屑を公営・民間を問わずリサイクル施設に持ち込んでいること、また、雪吊後の縄などは園芸用の堆肥として人気があり「落葉リサイクル」を活用して希望する市民に分けていることも、その向上方策の一つです。

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