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2007年10月 アーカイブ

2007年10月06日

「生産能率の向上」と「二酸化炭素排出量削減」の関係

先日、製造業でISO14001を5年以上やっているお客さんより「”紙・ごみ・電気・水”はもうやりつくして活動が停滞している。何か良い方法がないか。」という質問を受けた。
そこで、
「環境の改善活動を本業に移したらどうどうですか。例えば、環境目的として”生産高あたり二酸化炭素排出量の削減”を中期目標に設定すると、その活動内容は生産能率の向上となり、なかば永遠のテーマとなりますよ。」
というお話をさせていただきました。
 
そのお客さんでは1996版でISO14001を取得し、その後、2004年版に切り替えておられるが、環境側面の本業への適用という点については、まだ十分に行っておられない様子で 「現場では小集団活動として改善活動を行っているが、これを環境に結びつけて考えたことはなかった。」 とのお話でした。

日本では、一般的に、ISO14001:1996年版では「管理できる環境側面」が中心で「紙・ごみ・電気」が三種の神器といわれてきた。
その後、2004年版の移行の過程で「活動における環境改善」から「本業における環境改善」への移行することが強調されてきたが、最初に1996年版で認証取得された事業所では、まだその点の意識づけが十分浸透していないのかもしれませんね 。

という自分も、数年前は環境と生産能率の向上を結び付けて考えてはいなかった。
この意識が変わったのはエコアクション21(以下EA21と記載)の審査人を始めてからである。

EA21が、ISO14001と異なる点の一つは、環境パフォーマンスの改善を要求事項としている点である。
ISO14001では、規格の目的として「結果として環境パフォーマンスを向上させることである」と記述されているが環境パフォーマンスの改善が要求事項にはなっていない。

EA21では、二酸化炭素排出量の削減、廃棄物の3R、水資源の節水をテーマとして取り上げることが必須事項となっている。

製造業では、環境負荷の自己チェックで二酸化炭素排出量を調べると生産現場の設備等による電気から発生するものが80%~90%を占める。
この費目を、余りお金をかけずにどうやって改善したらよいかを考えていくと、行きつくところは生産能率の向上になる。

大企業でも同じで、2年ほど前、講演で、CANONはセル生産方式導入(生産能率向上)で二酸化炭素排出量を3%削減したという話を聞いた。
また、先のプログ「意欲的な温暖化ガス排出量削減目標」の中で、リコーが生産プロセスの革新で二酸化炭素排出量を5年間に26%削減する計画をたてていることを紹介しました。

中小企業では、こんな訳にはいかないので、私のコンサルティングでは「5S活動で無駄とりをする」ことから始めることを推奨しています。

以上について、“まだ、しっくり行かない”と感じる方には、省エネルギーセンターの省エネ改善事例を見ていただくと納得すると思います。

省エネ改善事例のトップは「生産能率の改善」事例です。
以下にその例を紹介します。

省エネルギーセンターの ホームページ 平成16年度 省エネルギー技術普及促進事業調査報告書「第4章 表4.1 表彰などの事例に見られる固定エネルギーを削減する手法」で生産能率の向上と省エネの関係を過去の事例から解説している。

-------<ここから引用>--------------------------------------------

手法の1:生産能率を高めて、生産時間の短縮による固定エネルギーの削減
 生産能率の向上などによる時間短縮の例では、一般に純生産分のエネルギー原単位は不変か微増ですが、時間当たりの生産比例分エネルギー消費量が増加する。
① 生産工程の部分統合により時間短縮する。
② 生産能率を規律する工程を並列化することにより時間短縮する。
③ 生産工程内で前処理・前加工・予熱などを合理化することにより時間短縮する。
④ 生産工程内の後工程・エネルギー回収などの合理化により時間短縮する。
⑤ 生産技術の向上(高精度加工や高品質加工)により後工程の短縮又は省略する。
⑥ エネルギー消費率の向上や合理化などにより加熱時間・溶融時間を短縮する。
⑦ 基礎技術による生産技術の高度化により生産能率を高めることにより時間短縮する。
⑧ 生産工程の待機時間の短縮など無駄時間を極限まで短縮する。

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その具体的改善事例は次のページに紹介されています。

 富士重工スバル技術本部「高付き回り電着塗料の導入による省エネルギー」

 NECセミコンパッケージ・ソリューションズ(株)「生産変動に対応した待機電力の低減」

 トヨタ自動車(株)衣浦工場「品質不良対策から生まれた画期的な熱処理工法の実現」

2007年10月10日

改正フロン回収・破壊法

フロン類はオゾン層の破壊や地球温暖化の原因となるので、フロン類の大気中への排出を抑制する必要がある。このため、平成13年に制定された「フロン回収・廃棄法」において、業務用冷凍冷蔵庫が廃棄される際にフロン類の回収が義務付けられています。
業務用冷凍冷蔵空調機器が廃棄又は整備される際にフロン類の回収が確実に行なわれるように、法改正が行なわれ2007年10月1日から施行になりました。

一般の事業所でも、廃棄物処理法のマニュフェスト管理と同様、ISO14001やEA21の「順守すべき法規制リスト」この法律を追け加える必要がありそうです。

業務用冷凍空調機器の所有者は、廃棄の際には以下のことが必要となる。

 ① 都道府県の登録を受けたフロン類回収業者にフロン類をj引き渡すこと
 ② その際は、法律の基づく書面を交付すること
 ③ フロン類の回収、破壊等に関する費用をふたんすること

業務用冷凍空調機器の所有者は、整備の際にフロンを回収する場合は、フロン類の回収、破壊等に関する費用をふたんすること

業務用冷凍空調機器から、みだりにフロン類を放出しないこと
 ・・・違反すると、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金

詳細は、環境省の下記トピックス報道を参照したください。

 ⇒ 改正フロン回収・破壊法が10月1日から施行されます

2007年10月27日

新エネルギー利用見学会

Eco_r002昨日は石川県地球温暖化活動推進員研修で「新エネルギー利用と実際」に参加させていただきました。
参加者は約30名、朝8時10分金沢県民エコステーションを出発、バスで現地に向かう。

1番目の訪問先は「小規模ダム水力発電所」
白山市西町の七ケ用水発電所に向かう。

Eco_hatudensyo七ケ用水発電所は周りを田圃を囲まれている。手取川の上流域から、加賀平野の田圃に水を配る分水口の近くにある。
ここから分流して海岸線まで七ケ所の用水に水を配る。
もともとあった用水の傾斜を利用したもので落差は5M。
外から見ると集会所のように見えるが、スペースのほとんどは流れてくるゴミを取ることに使われているようだ。
発電能力は1,000kwhであるが、手取川から取る取水量が加賀平野の稲作の必要量によって違うので、実際はその半分程度とのことである。
Eco_r0015総工費は37億円(内発電所関連約15億円)で、その殆どが国のRPS事業と県からの補助で、土地改良区が払った費用は4億円である。
発電した電力は北陸電力に10円/kwで売電しており、その収益が、年4千万円とのことなので、投資回収年を計算すると
 全体で90年(発電所関連のみでは40年)、土地改良区の支払った費用でみると10年となる。
「投資回収年が悪いなあ!」と感じたが、売電10円/kwというのは、少し安すぎる。
原油価格は、1998年に1バーレル14ドルだったのが、現在90バーレル、わずか10年間足らずで6倍以上にもなっている。原油はピークオイルを過ぎ、長期的な見方では更に上昇するということだから、こんな近視眼的な投資回収年の計算自体意味をなさず、20年後に再評価すると、大変良い投資だったということになるかも知れまんね。

2番目の訪問先は「廃食油を利用したバイオディーゼルの精製・販売」
 小松市安宅新町の日本鉱油さん
Eco_r0031テント貼りの建屋の中に精製装置がある。
飲食店等から集めた廃食油を右の装置に入れる。廃食油230Lを装置に入れると7時間で200Lのバイオディーゼルができるそうだ。
なお、BDFというのは、現在話題になっているバイオ燃料エタノールとは関係ありません。
ここでできたバイオディーゼル(BDF)は100円/Lで販売しているそうだ。
販売先は、土木現場の重機、耕運機等であるが、一般ディーゼル車にも使用できる。
しかし、最新のコモンレール方式のディ-ゼルエンジンでは、目つまりを起こす可能性がありお勧めできないとのこと。

BDFは、燃費が軽油以上だとのこと。CO2排出についてはカーボンニュートラルでカウントされない、Noxが発生せず、環境によい。
ただ、集めた油の出どころで匂いがする。焼き肉店からの廃食油は焼き肉の匂い、ゴマ油のてんぷらの廃食油はゴマの匂いがする。
問題点は、植物性油のため酸化すること。食用油を使用後すぐに精製して燃料として使用する限りは何ら問題はないが、半年以上使わないで放置しておくと酸化してしまうこと。
また、現在の廃棄物処理法では廃食油は産業廃棄物となるため、精製業者が処理費用をいただくことができない、飲食店等から5円/Lで買い取っているとのことでした。
 
ちなみに、この精製装置は幾らか聞いた所、一千?百万円とのことでした。

次の訪問先は「流域下水道終末処理場の消化ガス発電施設」
 石川県大聖寺川浄化センター
同センターが日本最初に、終末処理の消化ガスを用いて、マイクロガスタービン発電を導入した。
Eco_gasi
終末処理場はかなり広いが、ガスタービンは意外に小さな施設で、発電量も少ない。
30kwの発電機2基が取り付けられている。
消化ガス発電は、経済性が高いということだったが、投資回収年がいくらなのか聞き洩らしました。この処理場で使用される電気の15%が、この発電機で発電される電気でまかなわれるそうだ。
Eco_r0046では、終末処理場でどこでそんなに電気を使っているかというと、下水を酵母菌で浄化するときに下から空気を入れるエヤーレーション装置です。
写真が、その装置のモーター部分です。
私が試算すると、この処理場では約200戸分の電力を使っていますね。

目に見えないところで色々と電気を使っているのですね。
これじゃ、地球が悲鳴を上げるのも無理はない。

一通りの見学が終わって、金沢の県民エコステーションの帰ったのは午後5時でした。
皆さん、ご苦労様でした。

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