« 2007年08月 | メイン | 2007年10月 »

2007年09月 アーカイブ

2007年09月06日

県民環境講座その2

8月13日に 県民環境講座その1 の紹介をしました。
本来は最初に地球温暖化についての全体的な話があって、その後、各論になるのですが、自分は受講日の都合で各論から先に入ってしまいました。

今日は第2回目の開催で、七尾サンライフプレザまで出かけ、前編の「地球温暖化と私たちの暮らし」について、IPPC WG1 国内委員で 名古屋大学 大学院の井上元教授のお話を伺いました。

平日開催の関係か、参加者は女性が圧倒的に多く、男性は4~5名でした。

「地球温暖化」については、これまで種々のメデアで報じられているので、特別目新しいものはないが、その理論的根拠について伺ったのは収穫でした。

断片的ですが、印象に残った点のメモを紹介します。
 
■ 地球温暖化の科学的根拠
・よく西暦1000年からの、炭酸ガス排出量や、地表の温度変化の推移グラフを見かけますが、これは南極の氷の中に閉じ込められている空気から測定したものだそうです。
・温暖化による地表温度の推移は何億円もかけてスーパーコンピューターで計算しているが、長期変動は100km×100kmは一単位で、これでは単位が粗すぎて、トレンドは分かるが台風の影響までは正確に予測できないそうです。
・温暖化が最も進むのは北極や南極で、2100年までに平均8℃くらい上昇する。時期別の変化を調べると、夏の温度は余り上がらないが、冬の温度が大幅に上昇する。
このため、シベリヤの森林に入った蛾の卵が越冬できるようになり、森林被害が増える。
 
■ 私たちの生活にどのような影響があるか(日本)
スーパーコンピュータのシュミレーション予測
・台風は数は少なくなるが、強度が上昇する。
・梅雨期の洪水が西日本を中心に増加し、梅雨明けが遅れる。
・梅雨期の豪雨が日本全域で増加
・真夏日が増加する
 シナリオBでの東京の真夏日 45日→100日以上
 なお、世界各地の異常気象被害は1990年以降は、それ以前の3倍になっている。

どの程度被害が起きるかはわからない。少なくともあなたが甚大な被害を受けることはない。しかし、あなたの子供・孫は被害を受ける。

■ 二酸化炭素はどこへ消えているか
・化石燃料の使用量と、大気中のCO2濃度の観測結果の変化を見ると、42%が大気以外のところへ消えていることが分かる。
・海洋の微生物が酸素と炭酸ガスを取り込んでいることから、空気中の酸素濃度の変化を見ると、その増加分から海洋に吸収された分が分かる。
 観測結果から、海洋における吸収地点と放出地点の循環関係が分かっている。
・炭素収支
           1980年代   1990年代
  大気中蓄積   3.3 Gt/y   3.2 Gt/y
  海洋吸収    1.9 Gt/y   1.7 Gt/y  海洋吸収は増やせない
  陸域吸収    1.9 Gt/y   3.0 Gt/y
  森林減少  -1.7 Gt/y  -1.6 Gt/y  森林吸収は増やせる?
    計      5.4 Gt/y   6.3 Gt/y

Sinrin_kyusyu 森林における炭素吸収は、光合成による炭素吸収と土壌呼吸による排出の差によって決まる。
下草を燃やさないのがよいとは限らない。アメリカの例では野焼きを禁止したところ、枯葉が溜まりすぎて、消火できないような大規模森林火災に至り結果的に吸収量が減少した。

■ どのような対策で大幅削減ができるか
        CO2     エネルギー    活動量
CO2排出量= ――――― × ――――― × ――――― × 人口
      エネルギー    活動量     人口

 CO2:CO2を出さないエネルギー供給システムの導入
    太陽光、風力、バイオマス、水素、原子力、炭素隔離貯蓄等

 エネルギー:エネルギー依存の少ない経済活動の推進
    省エネ機器、低公害車、都市交通システム、産業構造転換等

 活動量:モノ消費による豊かさから新たな豊かさへの転換
    クールビズ、モッタイナイ、足るを知る

具体策
                              削減できる温暖化ガス
                                    (億トン/年)
エネルギー部門
 水力・太陽光などの再生可能エネルギー、原発、       24~47
 CO2回収・貯蔵

運輸部門
 電気自動車、ハイブリッド車、バイオ燃料、燃費向上      16~25

建築部門
 省エネ型の照明、断熱材、空調の改善              53~67

産業部門
 廃熱や未利用エネルギーの回収、省エネ型の電気機器    25~55

農業部門
 炭素を土壌に蓄積、メタンガスを出しにくい畜産・米作      23~64
 窒素肥料の適正利用

林業部門
 植林、森林保全、木材製品の利用、エネルギーとしての利用  13~42 

廃棄物部門
 埋立地からのメタン回収、廃棄物焼却熱の利用           4~10

この表で分かるように、建築部門のウェートがかなり大きいですね。
そこで、前回グリーン住宅の講座があったわけです。ここまできて、その意味が分かりました。

2007年09月13日

エコアクション21全国交流大会

Dsc052409月8日(土)午後~9月9日(日)まで、長浜市でエコアクション21全国交流大会が開催されました。
主催者の発表では参加者は450名とのこと。
(右の写真は懇親パーティスナップ)
審査人は3年に1回以上交流大会に出席することが義務付けられている。
私は、昨年の山形の交流大会にも出席しましたが旅行がてら情報収集を兼ねて都合がつく限り毎年参加することにしています。
ちなみに来年は熊本ということでした。

エコアクション21の認証制度は2004年11月より開始、現在1,800件ですが、2009年末には5,000件となると予想されている。
その理由は、京都議定書でCO2排出量削減を定めているが実際には増加している。
大企業については温暖化防止対策法、省エネ法で縛りがかかっており削減の方向に向かっている。しかし、事業者の大多数を占める中小企業への展開の方策が無く、実際にも排出量は増加傾向にある。
そこで、EA21をその梃子にしようとして「美しい星50」の施策の中に盛り込んだ、とのことでした。

以下当日の主な内容です。

1日目:
(1)EA21の今後の方向
 2004年度に制定された「環境経営ガイドライン」が、今年末を目途に改訂される予定。改訂のポイント
・内容を分かりやすくするために表現が変る。
・環境負荷の集計方法が変る。
・本業(製品・サービス及びグリーン購入)での負荷低減が要求事項に追加される。
・環境活動レポートから該当事業者の炭酸ガス排出量の削減量が算出できる様式になる。
(2)業種別マニュアル
 この程エコアクション21マニュアルが全職種共通から、業種別マニュアルに変更になりましたが、その主旨と概要説明がありました。
既に発行済みの業種別マニュアル
・廃棄物処理事業者
・食品関連事業者
・建設業
・教育・研究機関
・地方自治体
今年中に発行予定
・ホテル・旅館業向け
・自動車整備業向け
・印刷業向け

2日目:
・審査中に見逃しやすい事例と対応策
・審査マニュアル改訂のポイント

特に、今回のプログラムの目玉は、第1日目に行なわれて滋賀県知事嘉田由紀子氏の記念講演でした。

嘉田知事は「新幹線の新駅計画凍結」を掲げて2006年7月の選挙で当選した。
知事になられる前は、京都大学大学院農学研究科博士課程修了(農学博士。論文名は『琵琶湖の水問題をめぐる生活環境史的研究』)し、琵琶湖博物館研究顧問、京都精華大学人文学部教授を歴任されていた。
記念講演のテーマは「『もったいない』で拓く持続可能な社会」
言葉足らずですが以下に要約します。
------------------------------------------------------------
『“もったいない”とは?』
(1)金や物を節約する
(2)物事や人の本来の力が発揮され「ありがたい」と思う
(3)物事や人の本来の力が失われ「心惜しい」という気持ち
・“もったいない”は近江人の生活の魂が込められた生活哲学であった。

『琵琶湖に暮らす人々と自然との関わり方』
 過去30年高度成長の波にのち、私たちの生活は豊かになったように見える。
一時悪化した琵琶湖の水質も「BOD」や「COD」といった科学的数値ではよくなっているように見える。
しかし、30年間現場を徹底して歩き耳を傾けることで分かったことは「自然とのかかわりの喪失だった」
多種多様な生き物、生活の中で生きていた湖と川、子供たちの遊び場としての水辺、小さなコミュニティによる自主的奈治水対策と愛着」
これらのものが失われてしまった。
(これら事例について写真を入れて紹介していただいた)

『環境問題を考えるときには・・・』
 科学的思考+文化的思考 ⇒ 環境問題の多面性がみえてくる

 文化的思考・・・川や森とかかわり続ける暮らし、近い水・近い木々への関心、水辺や里山の風景の価値など

『琵琶湖に映し出される今後の課題』
・固有種の減少と外来種の繁殖
・カワウの増加と水草の繁茂
・琵琶湖の全循環の停止の恐れ

 地球温暖化の影響で水温が上がり亜熱帯の湖になる?
 水の全循環が止まり生態系に大異変が起こる

・あらゆるものの本来の価値を活かさなければ「もったいない」という哲学に裏づけされた考え方
・豊かな自然や歴史文化、地の利を活かしながら県民が育んできた「ほどよい暮らしぶり
 ↓
「脱温暖化社会を実現し、環境・経済・社会が調和し発展する、次の世代に配慮した持続型社会」を構築する。

そのためには、地球温暖化を「私」「私たち」の問題として捉え、主体的に行動すること
=1人称、2人称として取り組むことが重要
-----------------------------------------------------------

話が大変お上手で、知事に当選された理由が分かりました。
また、滋賀県は全国唯一「2030年までにCO2排出量半減」を宣言されていますが、その理由も頷けました。

2007年09月23日

エコドライブ教室に参加しました

Dsc05258今日は石川県環境政策課主催のエコドライブ教室に参加しました。

といっても、その内容は先のブログ「省エネ運転教育の教材」の省エネルギーセンターのエコドライブDVDと同じです。

東京の省エネルギーセンターより、4人の講師が4台の車ごと持ち込んで実地指導をするものです。
省エネルギーセンターでは全国各地でこのようなエコドライブ教室を開催しているとのことです。

プログラムの内容は

受講者の指導前走行
  ↓
講義(これは省エネルギーセンターのスマートドライブDVDと同じです)
  ↓
インストラクターのデモ走行
  ↓
受講者の指導後走行
  ↓
結果レビュー

各車には、燃費が計測できる特殊な計器が付いていて、その場で結果がわかる。
これまでのエコドライブ教室の実施では、
受講前と受講後では燃費が平均24%向上している。

エコドライブについては、一応分かっているつもりでしたが、この講習でより理解が深まりました。

前のブログ「省エネ運転教育の教材」の補足点

・スマートドライブは国の予算を使って、膨大な実測データからたどり着いた省エネ運転方法です。
・スマートドライブは、ガソリン車だけでなく、ディーゼル社(トラック)にも適用できますから、事業者の方も是非取り入れられることをお勧めします。
・運転中、停止のところでアクセルを離すとフューエルカットが起こり、燃料がゼロとなる、とは時速約40㎞以上の場合で低速では起こらない。
・回転計が付いている車では、回転計を1500rpm以下にすることを目標にしてもよい。講師の話では実際にできるのは2000rpm以下になる、とのことでした。
・省エネルギーセンターのホームページからはDVDがダウンロードできませんが、石川県の環境政策課の方と話をしていたところ、DVDを持っているので希望があれば貸し出しするとのことでした。

Prius01なお、省エネルギーセンターに ReCoo という無料の燃費集計ページがあります。ここに登録すると、燃費集計プログラムがあり、自分の位置、アドバイスなどがもらえます。
自分の登録データは全体では、3980人中288位です。
これは、努力している訳ではなく、車種が省燃費車だから。
Prius02
車種は初代プリウスで、そこのデータを見ると5人登録していて、その4番です。
1人だけ平均燃費 22 Km/Lという、すごく頑張っている人がいるんですね。
びっくりしました。

皆さんも入会されてはいかがでしょうか。

About 2007年09月

2007年09月にブログ「EA21審査人ブログ」に投稿されたすべてのエントリーです。新しい順に並んでいます。

前のアーカイブは2007年08月です。

次のアーカイブは2007年10月です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type