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2007年03月 アーカイブ

2007年03月10日

マニフェスト(産廃)の流れを勉強する

2月以降数社のエコアクション21の更新審査をさせていただいた。
その時に産業廃棄物管理票(マニフェスト)の管理について気になることがあった。

マニフェストは、産業廃棄物の排出事業者がそれぞれの委託処理後に、排出事業者が各業者から処理終了を記載したマニフェストを受取ることで、委託内容どおりに廃棄物が処理されたことを確認する。これによって、不適正な処理による環境汚染や社会問題となっている不法投棄を未然に防ぐことを目的にしている。
そのため産業廃棄物処理法では、排出事業者に以下のような義務を規定している。

委託基準を満たす義務
・排出事業者が産業廃棄物の処理を業者に委託する場合は、委託する業者と直接、書面で契約を結ぶこと。
・委託する業者は都道府県知事等の許可を受けていること。
・委託する内容が業者の許可内容とあっていること。
・業者が処理基準を満たしていること。

マニフェストの交付義務
・排出事業者が産業廃棄物の処理を業者に委託する場合は、マニフェストを交付すること。
・マニフェストは産業廃棄物を処理業者に引き渡すときに交付すること。
・マニフェストは産業廃棄物の種類ごと行き先ごとに交付すること。

マニフェスト確認義務
・B2票(運搬終了の報告),D票(処分終了の報告),E票(最終処分終了の報告)の送付を受けたときに,それぞれA票と照合し,運搬・処分終了を確認すること。
・引渡しから一定期間内に送付されない場合,処理状況を把握し,適切な措置を講じるとともに,都道府県知事に所定様式で報告すること。

マニフェスト保存義務
・B2票,D票,E票を送付を受けた日から5年間保存すること。


エコアクション21は小さな事業所様が多い関係か産業廃棄物管理票(マニフェスト)制度の内容をよく理解しておらず、悪意はないのだが無意識のうちに上記の排出事業者の義務を果たしていなという事例に出会った。
(1)マニフェストの委託契約を結ぼうと思って契約書を取り寄せたが書き方が分からずそのままになってしまった。
 → これは、産業廃棄物の委託契約をしようと思って頼んだら、処理業者が建設廃棄物副産物の委託契約書をおいていったので訳が分からなくなって放置してしまった、ということらしい。

(2)産業廃棄物処理業者が、その日に処分しますからといってA票~E票まで記載捺印したマニフェストを糊付けのまま置いていった。これでよいものと思って綴りこんである。
 → この例は2ケ所でみた、置いていった処分業者も違っていた。
  でも、こんなことはありえないのではないでしょうか? 中間処理まではその日のうち終了するということは理解できるが、E票は2次マニフェストが発行されるので、その日に処分されることは考えられない。
産業廃棄物処分業者が処理終了後E票を郵送していると面倒で金がかかるので、排出事業者が知らないことをいいことに、このようは処置をしてしまうのではないだろうか。

このような例は排出事業者が制度をよく理解していれば分かることですが、実務担当者はこのような教育を受ける機会がなく、知らないまま業務をこなしてしまう。
上司が教えればよいと思っても、上司もその辺のことは分からず関心も薄い。

このようなことは、小さな会社でならば、どこでも起きていそうなことなので説明しようと思った。
しかし、自分より専門的で分かりやすいサイトがあるのでこちらを見てもらった方が早い。紹介しますので一度見てください。

⇒ マニフェストA票~E票までの処理の流れ
   このサイトの中の「音声とアニメによる説明」が大変分かりやすいので、聞いてみてください。

⇒ 産業廃棄物処理委託契約書の手引き
   このサイトの「産廃を取り扱う方に」をクリックするとでてきます。

2007年03月15日

エコアクション21研修会

今日は石川県環境政策課の依頼でエコアクション21研修会の講師をさせていただきました。

場所は石川県地場産業振興センター、時間は午後2時から6時まで
最初に私が「エコアクション21の取組について」90分説明、その後「事例発表」として(株)植宗園の植村専務に30分話をしていただいた。

 ⇒ 説明用スライド「エコアクション21の取組み」(pdf変換)

昨年金沢商工会議所が開催した研修会(私が講師をした訳ではないが)の参加者は約40名だったので、今年の参加者もそんなものかなと思っていたところ、なんと150名が参加された。

やはり、このところハリケーンや暖冬など地球環境問題につての認識が高まってきたことによるものでしょうか?

説明の後、5分ほど質疑応答の時間を取ったのだが、そのときは質問はでなかったが研修会終了後2~3人の方より個人的に質問を受けた。
やはり、これほどの人数になると質問しにくいということなのか。

私としては、わかってもらたのかどうか心配で、後で知り合いの参加者に電話で
「どうだった。分かってもらえたかな」
ど聞いてみたところ、
「説明はよくわかったよ、でも参加した人は本当にやるなんでしょうか?」
と逆に質問を受けた。

同業者組合を通して、石川県からの案内がきたので「どんなものか一応聞いてみよう」ということで参加された方もおられたかもしれまんね。

この中の何社が実際に取り組んでもらえるか、期待と心配が入り混じった気持ちです。

2007年03月30日

EMSでの塩化ビニールの取り扱い

5年ほど前は、「塩化ビニールは燃やすとダイキシンが発生する」「塩ビ製造過程で添加するフタル酸エステルが環境ホルモン作用を起す疑いがある」ということで環境に悪い材料とされてきました。
一方、塩化ビニールは安くて耐久性があり省エネ性能もよいという相反するメリットがあります。

私がコンサルで訪問した車イス製造会社でもシートに塩ビを使っていて他の材料に切り替えようとするとコストが合わない。
フイルムヒーターを開発・生産している会社でも同じ問題で苦慮しておられた。
また、建設会社を訪れると器材倉庫に保管されている水道管などは殆ど塩ビである。

ところが、ここにきて風向きが変わったようです。

環境省が温暖化対策の一環として、東京・霞ヶ関の合同庁舎5号館に、アルミサッシではなく断熱性能のよい樹脂サッシ(塩ビ)を導入した(日経エコロジー4月号)。

その背景には、2000年にダイオキシン対策特別措置法が施行され、焼却炉の対策が進みダイキシンの排出量は焼却技術の進歩でかなり防げるようになったこと。
また、環境ホルモンに関する認識が変わってきたことにあるようです。

塩化ビニールから染み出すフタル酸エステルや、焼却後に発生するダイオキシンは分解されにくく、生物濃縮により脂肪に蓄積され代謝などによる排出がされにくいことから環境ホルモンとして作用し、子どもができなくなるのではないか、ということに大きな関心が寄せられてきた。

しかし、2004年9月環境省が調査結果を発表し、 「28物質でラットを用いた試験を実施し、いづれの物質でもヒト推定暴露量を考慮した用量では、明らかな内分泌かく乱作用は認められない」と結論付けた。

また、閥値以下の低量でも影響があるという報告に対しては、動物実験をしていて時々見られる劣勢遺伝による自然発生的な異常を環境ホルモンによると誤認したのではないか」という見解が出ている(日経BP社エコプロダクト2007、58ページ)。
これらの結果に対して、専門家の見解が分かれているが、以前のような大変な状況という認識ではなくなっているようです。

一方、ダイオキシンの毒性としては、急性致死毒性と慢性毒性がある。
慢性毒性としては催奇性の他、発がん性・肝毒性・免疫毒性・生殖機能の異常などがあげられる。

ダイキシンの慢性毒性については、ベトナム戦争時の枯葉剤に副産物として含まれることになり、強い催奇性で注目されることとなった。
ダイオキシンの急性毒性については、2004年12月、ウクライナ共和国の大統領候補であったユシチェンコ氏がダイオキシンを食事に盛られて倒れ、顔面に青黒い発疹ができて人相がすっかり変わってしまった、という事件がありました。
ユシチェンコ氏はその後無事回復して大統領の座に就きましたが、その後の調査で彼は2mg程度のダイオキシンを食べさせられたと見積もられています。これはニュースで一時期騒がれた「高濃度ダイオキシン汚染キャベツ」を、一度に200万個程度食べた量に相当します。
これだけのダイオキシンを一時に摂っても生命に別状がなかったわけですから、ダイキシンの急性毒性はヒトに関しては取るに足りないのではないか、と考えられるようになったことです。

日経エコロジー4月号(115ページ)によると、以上のようなことが関係してか、最近、新規住宅への樹脂サッシの採用が増えているとのことです。
またリコー、松下、ソニーでも、従来の環境方針を塩ビ「全廃(使用禁止物質)」から「使用管理物質」に変更しているとのことです。

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