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2006年06月 アーカイブ

2006年06月05日

小規模建設業の省エネ対策

ここ2ヶ月間、10社近くの小規模建設業(建築・土木・造園)の方々のEA21環境経営システムを見せていただきました。
先のブログ「EA21の取り組みチェック表は自社用に工夫を!」でも紹介しましたが、これら建設業のどこの組織でも二酸化炭素の排出量の90%以上は、トラックや建設機械(重機)から発生している。

ところが、EA21の取り組みチェック表には、事務所の省エネ取り組みチェックは数多く記載されているが、トラック・重機に対しては「アイドリングストップなどの運転方法の配慮をしているか」という評価項目しかない。
事業者の方の活動計画も この1項目しか書いてない場面に出会った。

そこで、「もっと改善方策を書いた方がよいですよ、これだけでは目標が達成されるとは思いません」と言うと、「ではどうすればよいですか」と言う返事が返ってくる。

そこで、私が提案することを以下に紹介します。

(1)先ず第一に、「車やトラックに対しては燃費を把握しなさい」と言うことです。
以前私がお伺いした運送会社では、1台ごとに燃費を把握していた。また、安全性の観点からドライブレコーダーもつけておられた。
車両にドライブレコーダーを装着し走行状況を把握すると、事故の状況ばかりでなく、急ブレーキ、急ハンドルなどのドライバーの運転状態がわかるようになる。
ドライブレコーダーのデータを見せながら運転者を指導すると、「運転者はプライドをもっており、効果は絶大」、運転者による個人差があるため、平均すると10%強の燃費改善につながっているという話を聞いたことがある。

建設業では、ドライブレコーダーの装着までは必要ないが、燃費を把握して使用状況を運転者に見えるようにすることが第1歩だと思います。
重機も同じで、重機の場合は燃費の代わりに稼働時間当たりの燃料使用量を把握する。

(2)エコドライブの教育(勉強会)を行なう。
車についてのエコドライブについては下記のサイトでご覧下さい。
⇒ エコドライブ技術案内(車)
 以下はいすゞ自動車のホームページから
 運転テクニック
 ① アクセルペダルの踏み込みは控えめに行なう。
 ② グリーンゾーン内で、または、目標設定回転数でのシフトアップ
 ③ 充分な車間距離をとって急な減速や加速をしないようにする
 ④ 排気ブレーキは必要時のみ手動で入れる
 ⑤ 空いた道や平坦路はできるだけ高速段を活用する
 ⑥ 赤信号の減速・停止時は早めにアクセルペダルを離し、車の転がりを利用する
 ⑦ 降坂時は坂の勾配や積載量に合わせ、排気ブレーキ等を有効活用する
 ⑧ 最高巡航速度を設定する
 ⑨ 時間にゆとりを持ち、極力低い速度で走る
 ⑩ 無人状態でのアイドリングはやめる
 ⑪ 待ち時間等での冷房・暖房運転は極力避ける
 車両の保守点検
 ① タイヤの指定の空気圧を定期的に点検する。
 ② エアークリーナーのメンテナンス基準を守り、清掃又は交換を行う。
 ③ 季節ごとに適正なエンジンオイルに変える

また重機については、国土交通省より「省エネ運転マニュアル」が発行されています。
⇒ 省エネ運転マニュアル

(3)仕事内容に応じた適切な車両・重機を使用する

(4)車両の購入や重機をリースするときには、省エネ車を使用する。
 自動車の省エネ性能については下記のサイトで確認できます。
⇒ グリーン購入ネットワークデータベース自動車

(5)バイオ燃料が使用できないか検討する。
これは滋賀県や静岡県では盛んなようですが、地域によって困難かも知れません。
⇒ 静岡県トラック協会バイオ燃料プロジェクト
なお、先の話ですが大成建設が大阪府堺市で建設廃木材を使用したバイオエタノール工場を建設中です。(生産能力1400キロリットル、2,007年1月稼動予定)

(6)エコタイヤを使用する。
住友ゴムは2006年3月より、石油を使わない材料(70%)を使用したエコタイヤを発売した。燃費性能も転がり抵抗で従来品より30%改善されるそうです。
⇒ 石油外資源タイヤ「ENASAVE ES801」

(7)手直し工事を削減する。
手直し工事は無駄そのものです。これは品質と環境が重なり合う項目です。

まだ他にあるかも知れませんが、気のついた方コメントいただけたらありがたいです

2006年06月09日

西暦2028年

日経エコロジーの7月号が届いた。
今月の特集は「欧州との付き合い方」であるが、自分はそれよりも環境の科学ウソ・ホント!「地球温暖化」の記事に興味を持った。

日本では京都議定書で温室効果ガス6%削減が大変だと言われているが、今年に入って世界的には「50%削減が必要だ」と言うことが専門家の間での共通認識になっているようだ。

地球の気温が2℃を超えると、南極の氷床の凍解や海流の異変が起きる、また、食料や水不足、伝染病の流行など社会・経済的に大混乱が起きる。そのため気温の上昇を2℃以内に止めねばならない。
気温上昇を2℃で止めるには、現在より50%二酸化炭素の排出量を削減しなければならない。
今のまま進んだ場合は、この2℃の上昇点に達する時期は2028年と予測されている。

この記事は、遅ればせながらその状況を解説してある。
 ⇒ 温暖化加速説はなぜ台頭してきたか
(著作権の関係上、印刷不可に設定してあります。興味のある人は日経BP社より購入して下さい)

それでは先が絶望的ではないか、というと、そうではない。
同誌には、別の記事でピ-ター・カール欧州委員会環境総局長のインタビューが載っていて、そこでピ-ター・カール氏は「我々はどうすればよいか徹底的に分析したみたところ、世界のGNPの1%をこの対策費に当てれば50%削減が可能であることが分かった」と言っている。

また、米国ワールドウォッチ研究所のレスターブラウン氏は、著書「ブランB2.0」の中で、エネルギー源を石油から、風力、太陽電池、太陽熱、地熱、小水力発電、バイオマスといった新たなエネルギー源にかえる。これらの技術はもうすでにある。
自動車を現在あるハイブリッド車に変えるだけでも自動車からの二酸化炭素は50%削減できる。
貧困を根絶し、人口を安定をさせること、要するに、世界の貧しい人々に希望を取り戻させること。これらの貧困撲滅には、合計で毎年680億ドル(7兆5000億円)の追加支出がかかるだろう。
地球環境を修復する ― 森林を再生し、漁業資源を回復し、過放牧を廃止し、生物多様性を保護する、そして地下水位の安定と川の流量が回復するところまで水の生産性を上げる ― ための予算を集約する必要がある。世界中で導入されれば、これらの対策には追加支出が年間930億ドル(10兆2000億円)必要である。

これらを合計すると世界のGNPの1%以内で可能である、と言っている。
あとは、いかに早くやるかだけである。

2028年というと、あと22年ですね!
間に合うかどうか。

話は変わりますが、人間行動学の本で「ねずみは学習するが人間は学習しない」と言う話を読んだことがある。

ねずみをかごに入れておいて、左右2つの餌場を用意し、右側の餌に電流を流しねずみが餌を取ろうとすると感電するようにする。一度感電を経験したねずみは、電流を解除しても決して右側の餌に近づこうとしない」
ところが、人間は少々のことでは学習しない。変化を嫌う動物である。

今日からドイツでサッカーワールドカップ大会が開催されているが、この大会のもう一つのメッセージは「温暖化ガス排出量ゼロの大会 - ワールドカップ大会の開催で余分に発生した温暖化ガスは、クリーンプロジェクトへの投資により同量の温室効果ガスを削減する」と言うことらしい。
ドイツ人は、国を挙げて環境意識が高く環境保全に熱心である。
どうしてかと考えてみると、彼らは環境問題で痛い目にあってきたことに原点があるようだ。
1970年代にドイツでは、酸性雨で森林の半分が枯れてしまった。また北欧では地下水が酸性になって健康被害も出た。そこで、痛い目にあったドイツの人達は、これは大変だと目が覚めた。その後、緑の党が結成され国政に参加して国を挙げて環境を大切にする気風が作られた。

一方、アメリカや日本はどうなのだろうか。
まだ、痛い目にあっていない。総論賛成各論反対、いや、それ以前の無関心の状態かも知れない。
昨年、アメリカはハリケーンで少しは痛い目にあったようだか、それでもそれは大きな国の一部、貧困層の声なき地域で大部分の人達は痛い目にあっていない。
日本でも、集中豪雨や豪雪と言う異常気象が起きたが、温暖化とは関係ない地震の脅威や拉致問題に比べるとたいしたこととは感じられていない。

結局は、アメリカの各地で農地の砂漠化や洪水が発生する状態にならないと意識の変革と抜本的な政策転換が起きないということだろうか。

これが何時になるか、そこで政策転換が行なわれたとき、その施策が2028年までに効果をあげることができるのだろうか。
今年は、時限爆弾の秒読みが始まる年になるようだ。

2006年06月26日

産業廃棄物処理事業者の情報公開について

3月のブログで 産業廃棄物処理事業者の優良性評価制度 について紹介しました。

その後、収集運搬業の方のEA21の審査をさせてもらうことになった。

産業廃棄物処理業向けマニュアル30ページでは、「産業廃棄物処理業では、産業廃棄物処理業者の優良性評価制度における情報公開で求めている情報をわかりやすく取りまとめ、環境活動レポートに記載することが必須の要素となります。」と言う要求事項が記載されている。

ところが、この制度は始まったばかりで、環境活動レポートでの公開事例がない。
わかりやすくといっても、その範囲がわからないので中央事務局に問い合わせた。

以下は、その回答です。
同じように分からない方もおられるかと思い情報公開します。

■ 情報公開項目の環境活動レポートへの記載について
 (中央事務局の回答)
 先日の中央事務局主催産廃マニュアル講習会(石渡氏講演あり)のテキスト(表紙が黄緑色)14ページにあります。

なお、14ページの記載は下記の通りです。

-------------------------------------------------------------------
①ガイドラインの解説に規定している組織概要に関する情報に以下の
項目を追加して記載する。
・法人設立年月日
・資本金
・売上高
・組織図
②以下の項目について、独立した項目を設け、簡潔にわかりやすく記載
する。
ア.許可の内容
・許可番号、許可年月日、事業計画の概要、事業の範囲
(事業の区分と廃棄物の種類)
イ.設備等の状況
・収集運搬業者:運搬車両の種類と台数、積替保管施設がある場合は、
 その面積と保管上限量
・処分業者:処理施設の種類、処理する産廃の種類、処理能力(規模)、
 処理方式、処理工程図
ウ.処理実績
・産廃処理業向け環境負荷の自己チェック、別表⑥受託した産業廃棄物
 の処理量
エ.廃棄物処理料金(料金表または料金算定式)

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